妖界3回目

3回目の妖界。今回は狐五郎も一緒だ。

必要だったのはこの男の持つお面。私は鳥のように見えるペストマスクを、狐五郎は狐面を身に着けた。もともと狐顔ゆえ、あまり変わらない気もするがそれは触れないでおこう。

異様な者たちに紛れるためには、やはり異様な者にならなければいけないだろう。

人間の匂いに敏感なのもいそうなので、香水でもかぶろうかと思ったが、「化学的な匂いは逆に気づかれそうだから」と、狐五郎が持ってきた天然素材の匂い袋をお守りのように忍ばせた。


今回は気づかれずに済んだ。夜中銀座を抜けて、夕闇だんだんという大階段をあがる横には、九龍城砦のような建物と、派手なネオンサイン。迷って出て来られなくなりそうなので、中には入らなかった。かすみがかった景色の向こうに見えるのは、こっちの世界にはもうない、焼けてしまった谷中五重塔。

記念に写真を撮ってみたが、背景は何も映っていなかった。


惜しむはたった1時間というリミットだ…。


画:pandania氏