付喪神


妖怪はあれからよく出現するようになった。

妖怪といっても色々と種類はあり、河童や天狗の類ではない。

道具の妖怪で付喪神という。付喪神がなんたるかの説明をここで長々とするつもりはない。今度レポートとしてあげることにする。

彼らがなんで見えるようになったのか、心当たりはひとつある。

確か2月だったか、前の家主が残しただろうものが納戸にまるまる残っていたわけだが、何か使えるものがないかと欲を出し、漁ってみた。まあ、これが面白いものがたくさん出てきたのだが、それはさておき、その中で古びた汚い神鏡が出てきた。近くに神棚や他の神具があるわけでもなく、ぽつねんとそこにあった。

黒ずんでいるが立派な雲型の木彫りの上に、埃がこびりついた丸い鏡が乗っている。鏡が何もうつさないというのも何か切ない気持ちになったので、水洗いし、埃だけでも落としておいた。くもりだけはどうしてもとれず、うすぼんやりと私の姿を映しこむまでには綺麗にして、これまた木彫りも埃だけは拭き取った。こんなことは大みそかの大掃除でもしないのだが。

その日の夜に夢を見た。神鏡に目鼻と手足が生えて、私に礼を言った。「気紛れだから気にするな」と返した気もする。起きてから思い返せば、鳥山石燕が描いた『雲外鏡』にそっくりだった。

そして、棚に置いたはずの神鏡は姿を消していた。


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久し振りに書く。パスワードを忘れて思い出すのに苦労した。 なんでもかんでもパスワード。電子版の面倒なところだ。 いまさらだが、『妖怪』というものの研究はなかなか難しい。 関連する文献は膨大にあるし、日本各地に伝承として残っている妖怪の話は数多あるのに、それを組み合わせて肉付けしていくうちに実体が失われていくような気がする。両手いっぱいに水をすくったつもりが口に運ぶ頃には一滴もなくなってしまっている