延命地蔵尊


よみせ通りにある延命地蔵尊の右の建物との間には、ほんの僅かな隙間がある。人どころか、猫ですら入れるような隙間ではない、ぐりとぐらの絵本の厚さくらいの幅だ。

昨日…、というか一昨日、ひょうたん池で酒をしこたま飲んで、もう閉めるぞと店主に教えられて、帰る途中のことだった。延命地蔵尊を赤く引き立たせる灯りも既に消えているのを背に、路地に入ろうとした時、私はふと違和感を感じた。

灯りの消えた延命地蔵尊を振り返る。

違和感の正体は光の消えた提灯でも、扉の閉まった小さなお堂でもなく、右の建物との隙間だった。

人が通れるほどの道があったように思う。

あったように思うが、半分夢を見ていた気もする。