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アマビコ

この研究所には前の家主の持ち物がまるまる残された『納戸』がある。


昨日、何かの鳴き声のような古い扉が軋むような音が聞こえて『納戸』に入ったら、猿がいた。 正確に言うと、猿ではなく、猿のようなものだ。まるでいじけた子供のように、毛むくじゃらの身体を丸めて、キィキィと言っている。 いつの間にか後ろにいた化け提灯の赤丸がウンウンと頷いており、妖怪同士なだけに言葉が通じるようだ。 アマビコという妖怪らしい。 赤丸が言うには「自分は、姿を見た者の無病長寿を約束している。アマビエは姿を見た者がどうなるかハッキリとしていないのに広まっている。今の世はハッキリと約束しない方が好まれるのか」とブツブツ言っているらしい。 なんだか心が痛いボヤキである。 とりあえず、しばらくそっとしておこう。


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今月の新月は3月24日だった。 しかし、私はまだ人間界にいて、ブログを書いている。 23日の都知事の会見を受けてか、この界隈は夜に歩いている人は少ない。 昨日は、この時期に旅行かと、ときどきすれ違う人に白い目で見られながら、大きなトランクを引きずり延命地蔵尊に行った。 だが、行けなかった。道は開かなかった。 しばらく粘ってみたり、他の月齢カレンダーを調べたりもしてみたが、やはり今日が新月だ、間違っ

次は1ヶ月近く滞在するつもりで荷物をまとめている。 次の新月が待ち遠しい。

やはり色々と考えたが、延命地蔵尊の横に脇道が出来ていたのは夢じゃなかったように思う。あの日と同じ時間に足を運んでいたが、すっかり延命地蔵尊に行くのが日課となってしまった。 あれっきり特に変化はない。やはり夢か目の錯覚だったか。

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